【熱中症の治療】その場でできる応急処置と病院に行くべきかの判断

梅雨の時期が始まり、だんだんと夏が近付いてきましたね。

これからの季節はイベントも多く、屋外で過ごす時間が長くなる方も少なくないのではないでしょうか。

夏は楽しい行事が多いですが、熱中症の危険も格段に高くなります。

 

この記事では、応急処置を始めとする、熱中症にかかってしまった時のお話をします。

熱中症は命の危険がある疾患ですが、早急に対応すれば救命が可能です。

この夏を安全に過ごすために、是非ご一読くださいね。

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熱中症の症状と重症度

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熱中症と言われても、罹患したことがない、または夏はもともと体調を崩しやすい方はイメージが付きにくいかもしれません。

環境省が発表している熱中症の症状の表をご紹介します。

熱中症重症度症状の一例対処法
Ⅰ 度●手足がしびれる

●めまい、立ちくらみがある

●筋肉のこむら返りがある(痛い)

●気分が悪い、ボーっとする
涼しいとこで一休み。

冷やした水分・塩分を補給しましょう。

誰かがついて見守り、良くならなければ、病院へ。
Ⅱ 度●頭ががんがんする(頭痛)

●吐き気がする・吐く

●からだがだるい(倦怠感)

●意識が何となくおかしい
Ⅰ度の処置に加え、衣服を緩め、積極的に冷やしましょう。
Ⅲ 度●意識がない

●体がひきつける(けいれん)

●呼びかけに対し返事がおかしい

●真直ぐに歩けない・走れない

●体が熱い
救急搬送

※環境省 熱中症健康保健マニュアル2014 一部引用

 

上の表は、多くの医療施設でも採用されているものです。

Ⅰ度はなんとなく日常生活でも起こりそうですが、Ⅱ度Ⅲ度と重症度が上がってくると、言葉だけでも異常なことが伝わってきますね。

 

熱中症のような症状が出たときの応急処置は?主にⅠ度からⅡ度

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まず、熱中症と思われる症状が出たら、どのような対処をすべきでしょうか。

重症度の表を参照すると、Ⅰ度からⅡ度あたりですね。

 

筆者は、年中立ちくらみがありますし、同じ格好でしばらく過ごすと手や足が痺れてくることも良くあります。

熱中症との相違点を挙げるとすれば、まずはその症状が持続するかどうかが挙がります。

筆者の例を見ても、数秒から長くても数分で消失します。

熱中症は脱水が原因で引き起こるものですから、一概には言えませんが、例えよく言われるスポーツ飲料で水分を補給して頂いても、こんなに短時間で消えるとは考えにくいのです。

 

次に、熱中症の危険因子である

  • 高気温下にいたのか
  • 風通しが悪く熱がこもった室内にいたのか

などがあがります。

同じような症状でも、このような環境で急に出現したとしたら、熱中症の症状である可能性が高くなります。

 

本人の意識がしっかりしているのであれば、ひとまずはすぐに病院へ向かうよりも

  • 水分の補給
  • 環境を涼しい場所に変える
  • 横になって安静にする

などの対応で良いと考えます。

ここでいう“意識がしっかり”とは、名前を呼んで返答がある、自分の症状がきちんと言える、返答がすぐ返ってくる、などの事です。

 

また、水分の補給でスポーツ飲料を、と言われるのにも理由があります。

ヒトの体液は、ナトリウム、カリウムなどの電解質と呼ばれる物質を含んでいます。

通常、この電解質が骨格筋や神経の細胞を出入りすることで代謝をしています。

電解質は、汗や唾液、涙として容易に体外に排出されます。

 

熱中症は、体温を下げようと汗をかき続けること(つまり脱水症状ですね)が原因の一つですから、

この電解質と言う物質を補給して、細胞が正常に働けるようにしてあげることが必要なのです。

 

ミネラルウォーターやミネラルを含有したお茶類も販売されていますが、スポーツ飲料には脳の唯一の栄養源であるグルコース(糖分の事です)も含まれています。

加えてスポーツ飲料は、運動時に汗とともに失った電解質を補う目的で成分が含まれていますから、やはりスポーツ飲料がお勧めであると言えます。

 

次に、表の“衣服を緩め”のお話をします。

実は、汗や尿などの一見赤く見えない体液はすべて血液から作られています。

熱中症で脱水が進めば進むほど、身体の血液の全体量が減ってしまいます。

 

すると、身体の防御反応として、生命の維持をするのに優先順位が低い手足の血流が少なくなります(ここがおおよそⅠ度に当たります)。

この働きは、生命の維持に重要である内臓や脳の血流を守るためです。

 

しかし、悪化が進むと、次は脳と心臓の血流を守るために胃や腸、腎臓の血流が少なくなります(おおよそⅡ度に当たります)。

血流はこのように変化しますから、ベルトやボタンなどの少なからず血流を阻害する危険因子は除外する必要があるのです。

 

また、Ⅱ度になると胃腸の活動の低下が予測されるので、水分の補給は一口ずつゆっくりと、一気飲みは避けてくださいね。

身体を冷やす際は首や足の付け根、ワキの下などの触ってみて拍動を感じる場所が有効的です。

アイスノンや氷嚢などで冷やしましょう。

 

熱中症の症状が改善しない、意識がない時の応急処置。主にⅡ度からⅢ度

まずは、Ⅱ度と思われる時のお話をします。

 

筆者の考えですが、

自宅か病院かで一番迷われるのはⅡ度くらいの症状だと思います。

 

意識ははっきりしているけど頭痛がひどい、気持ち悪いのは良くなってきたけど何となくいつもより受け答えが遅いかも、など、今一つ確信が持てない症状が出る可能性が高いからです。

熱中症による脱水は、採血で電解質の濃度を測定することで比較的簡単に判断できますが、検査をしなければ数値は分かりません。

 

ですので、先にお話した応急処置に加え、必ず誰かが付き添っていてください。

随時症状を確認することで、症状の悪化に気づける可能性が高くなります。

 

特に、小学生以下と高齢者は予想以上に悪化が速い場合があります。

 

それでも心配な場合や、悪化している可能性があると判断した場合は、迷わず受診して受付で症状を伝えてください。

病院やクリニック側ですぐに診察が必要であると判断した場合は、先に診察してもらえるはずです。

 

次に、Ⅲ度の状況ですが、明らかに日常生活では見られず、異常であることがお分かり頂けると思います。

すぐに周りに助けを求め、救急車を要請してください。

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嘔吐が無ければ仰向けにし、肩をたたくなどして呼名します(大きく揺らすことのないようにしてくださいね)。

嘔吐、えずく様子があった場合は、可能であれば右側を上にした横向きにしてください(嘔吐した時に、肺に吐物が詰まらないようにするためです)。

反応が無ければ、首の動脈を触って、拍動の有無を確認します。

 

また、同時に胸(胸かく)の拳上を確認し、息が止まらないか、止まっていないかを確認します。

双方がない場合はもちろん、拍動がなければ、心肺蘇生を行わなければなりません。

 

また、息が止まっている、もしくは極端に弱い・分からない場合も、いずれは心臓が止まりますので、心肺蘇生が必要です。

自動車の運転免許をお持ちの方は講習の経験があると思いますが、心臓マッサージの事ですね。

少々怖い話になってしましましたが、熱中症は悪化すると命を落とす可能性がある疾患です。

 

救急車を要請したら、救急隊が到着するまでは周囲の人の対応が非常に重要になります。

家族やお連れの方は、特に気が動転する可能性が非常に高くなり、助けを求める事すらままならないことが予測されます。

この記事を読んで頂いている方がおられたら、是非印象に残していただければと思います。

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病院での治療法は?

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病院に行った場合、どのような治療を受けるのでしょうか。

筆者が救命救急センターで勤務していた時にも、夏場は熱中症で運ばれてくる患者様もいらっしゃいました。

 

基本的には、冷蔵庫で冷やした点滴を血管内に直接投与します

点滴の内容は、実は電解質とグルコースが含まれているので、スポーツ飲料と同じですね(施設や医師の治療方針によって違いがあります)。

通常、口から摂取した水分は胃で吸収されたり、約48時間後に大腸で吸収されたりして血管に入ります。

 

しかし、この方法だと重症化した熱中症では消化管は正常に機能していない可能性があるので、効果は望めません。

 

脱水症状を一秒でも早く改善させたいので、直接血管に投与した方が効率的です。

上記の理由から、Ⅰ度Ⅱ度であっても熱中症、脱水は点滴をした方が軽快は早いと考えられます。

ひとまず点滴治療で脱水が改善し、意識やバイタルサイン(脈拍、血圧、呼吸数)が安定したら、徐々に点滴を少なくしたり、食事を摂っても消化器官に問題がないかを確認したりすると考えられます。

 

治療・入院期間ですが、これも一概には言えません。

点滴だけで帰宅できる場合もあれば、集中治療室で亡くなる方もおられます。

恐らく、意識に問題ない、または改善した場合は治療・入院は少なく、意識がなかった、改善が見られない場合は長いと考えられます。

ここでの話は、その時の状況に左右されますので、必ず一例ととらえていただくようお願いいたします。

 

おわりに

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いかがだったでしょうか。

心肺蘇生の部分などは、少し怖いお話になってしまいましたね。

熱中症は、毎年同じように過ごしておられても、急に罹患する可能性があります。

 

また、自分や自分の周囲の人は大丈夫と思っていても、出かけた先で誰かが倒れるかもしれません。

この記事が活用されない方が喜ばしい事ですが、もしも現場に立ち会ってしまった時には思い出していただけたら幸いです。

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