乳がんの遺伝子検査とは?がん家系について知っておきたいこと

 

自分の遺伝子について考えたり気にしたことはありますか?

 

きっと多くの方がこの手の話をするときは「私のくせ毛は父親ゆずりの遺伝なの、、、」そんなレベルで軽く話すくらいかもしれません。

 

ところがここ数年、乳がんにまつわる話題と、「遺伝子検査」というキーワードも耳にするようになりました。

有名人の度重なる乳がん発症のニュースも要因のひとつですが、大きなきっかけになったのがアメリカの大女優アンジェリーナジョリーのあの衝撃的なニュースです。

遺伝子検査から遺伝性乳がんの高いリスクが判明し、予防的に両方の乳房を切除したという前代未聞のあの決断です。

 

今まで影を潜めていた?「遺伝子検査」の存在が一気に着目され始めたように思います。

 

関心を寄せる人が増えてきた今、実際に乳がんにおける遺伝子検査とはいったいどういうものなのか、概要を解説しながら遺伝子検査について考えてみたいと思います。

スポンサーリンク


「遺伝子検査」とは

dna-5

別項の「家族性・遺伝性乳がん」■乳がんの遺伝性をもつ家系にはいくつかの特徴がある の中で、「遺伝性乳がん」(のリスク)を判断する診断基準をあげました。

(詳細はその項をご参照ください)

 

わかりやすく小林麻央さんのお姉さん、小林麻耶さんを例にしてみていきます。

 

診断基準の② 親、子、兄弟姉妹、本人を含めて「2人以上」の乳がん患者がいて、、、

→麻耶さんは、母親、妹(麻央さん)と「2人」の乳がん患者がいる。

 

そのうちの1人が下記のどれかを満たす。

1)40歳未満の若い年齢で発症

→麻央さんは30代前半の発症。

 

ということになり、この診断基準上麻耶さんは、家族性・遺伝性乳がんの疑いが強いことになります。。。

 

もし麻耶さんがそれを知れば(もしかして私も…)と、当然ながら心配になりますね。

「遺伝子検査」が今の彼女にはより身近なものとしてとらえられるかもしれません。

 

実際に麻耶さんが自分にも乳がんの遺伝子変異があるのか知りたいと思うのか、そこまで知りたくない(さらには知る必要はない)と思うのかはわかりません。

 

ですが、お母様も麻央さんも「乳がん」の診断確定を受けていますので、

例えば麻央さんが遺伝子検査を受け、BRCA1、またはBRCA2、どちらかでもその遺伝子変異が認められた場合、麻耶さんは乳がんではありませんが、遺伝子検査を受けることができます。

 

ここでは‘もしも’と仮定し「麻耶さんが遺伝子検査を受けるために病院を訪問する」というストーリーで流れをみていこうと思います。

 

まずどこへ相談に行けばいい?・・・最初は「遺伝性がん専門の外来」に予約する。

byouin

ご存知でした?遺伝性がん専門外来の存在。

(私は知りませんでしたし、見たこともありません、、、限られた病院のみ設置されているようです)

 

その外来を見つけ、いきなり行ってすぐに遺伝子検査をしてもらえる。というわけではありません。

 

まずはこの専門外来にアポイントのための予約が必要となります。

 

「がん予防外来」

「がんの遺伝外来」など名前はいろいろあります。

 

どこで遺伝子検査を行ってくれるのか知りたい方は、下記のサイトを参照してください。

(遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の情報サイトhttp://www.hboc.info/ 相談できる病院はどこにある?)

 

受診の前にしておくこと―事前に郵送された質問票をできるだけ細かく記載しておく

monshinhyou

※質問票には

  • 以前がんと診断されたことがあるか

(病名・病院・住所・主治医・時期(  年  歳ごろ)

 

  • 以前に手術を受けたことがあるか

 

  • 両親の健康状態について

(名前・生年月日・住所・がん( 歳ごろ)病院・主治医・手術年月日・死亡年月日( 歳ごろ)死因)

 

祖父母おじおばに及ぶところまで、可能な限り家族歴情報を収集し記入しておきます。

(上記は質問票の一部の内容になります)

 

いよいよ受診―「カウンセリングを受ける」質問票をもとにわかりやすく『家系図化』される

 

cancer-kakei

(小林家の父方・母方の父母・兄弟・姉妹の家族構成情報は不明。麻央さんの家族歴は省略。

本来は現在の年齢も書く)

 

上記がひとつの家族単位例となり、これを可能な限り繋げ家系図化していきます。

 

  • どこにできたがんか?
  • 発症&死亡(した場合)年齢
  • 喫煙などの生活習慣の情報など、特記すべきことがあれば記載。

 

記載された質問票をもとに、外来ではまずはこの家系図を作ることが必須になります。

これによってがん家系であることが判明すれば、生活・食習慣を含め、検診のタイミングなどさまざまな視点からアドバイスを受けます。

 

家系図より乳がん家系であることが確認された上で、「希望により」遺伝子検査のためのカウンセリングが行われる。

何度も繰り返しますが、乳がんが家系的につながっている事実がわかっただけでは遺伝子検査は受けることはできません。

 

これらの家族歴の関係性、麻央さん(orお母さま)が遺伝子検査を受けて遺伝子変異の『陽性』が確認されて、『麻耶さん本人が希望された場合』遺伝子検査に向けたカウンセリングが初めて行われます。

 

  • がんや遺伝性がんについての医療的な基礎知識
  • 将来のライフスタイル、がんにかかってしまうかもしれないという不安・悩みの共有
  • 遺伝子検査における、メリット・デメリット

1番大きなメリットは、がんのリスクに対して心構えをもち、早期に予防策がとれる。

逆に1番のデメリットは、結果次第では将来乳がんになるかもしれないという不安が消えず、生涯必要となる二次予防のため、心理的・経済的不安も大きい。

 

双方でこれらについてしっかり説明と確認の作業が行われます。

 

いよいよ遺伝子検査―検査から結果を受け取るまで。

 

たった7ccほどの血液を採りそれを調べるだけです。

 

この遺伝子検査は、莫大な遺伝子の正常な配列から異常な形を示している(遺伝子変異をおこしているもの)ものを調べ出すため、検査方式によって結果を受け取るまでに1カ月~1カ月半かかります。

医療保険が適用されないため、費用はおおよそ20~30万円、多額の実費負担となります。

 

遺伝子検査を受けることで生じるさまざまな問題。。。

BRCA1、2遺伝子変異が見つかることで、常に乳がんの発症の可能性を意識し、その後一生乳がんのリスク管理が必要になります。

BRCA1の遺伝子変異の存在は、乳がんだけでなく卵巣がんのリスクが高まることも分かっているので、この遺伝子変異陽性の方は婦人科検診も同様に必要になります。

 

実は現在の遺伝子検査は、『遺伝性がんの診断が100%ではありません』

(※家族歴などから遺伝性乳がん・卵巣がんを疑い、遺伝子検査を受けた人のうち、遺伝子変異が見つかるのは約30%というデータがあります)

 

ではあとの70%は、、、実際に‘何も’遺伝子変異がない方もいるでしょうが、現在の検査方法では見つけ出すことができない遺伝子変異や、未知の遺伝子の影響の可能性があるためと言われています。

アンジェリーナジョリーのように「87%乳がんになるリスク。50%卵巣がんになるリスクがある」と誰もが明確な数値を期待できるわけではないのです。

 

この遺伝子検査をすると決めるのも、やると決めても取り消すことも、(やっぱり事実を知るのがこわい)と検査を受けても結果を聞かないとする選択も、すべて「本人」の意思に委ねられるのです。

スポンサーリンク


身近な例から実際を知る―Kさんの場合

k-san

Kさんは40代前半。

 

  • 実母は50歳で乳がん(55歳で死亡)
  • 母方の叔母のうち1人は45歳で乳がん(48歳で死亡)
  • 母方のもう1人の叔母は47歳で乳がん発症
  • 母方の祖母は48歳で乳がん(62歳で死亡)

 

このように乳がんが続いている家系ということで、30歳から乳がん検診を受けるようにしていたKさんでしたが、42歳で自身も乳がんを発症してしまいました。

 

乳がんによる「片側乳房全摘術」を受けたのち、彼女は遺伝性がんの専門外来の受診を希望します。

メインの目的は「10代の娘に遺伝子変異の遺伝がないか知りたい、、、」という理由でした。

そのためにはまずは発端者である自分の遺伝子検査が必要です。

 

遺伝カウンセリング→検査→その結果・・・

 

『BRCA1遺伝子変異:陽性』

 

Kさんは乳房を残すことができなかったことを悔やむ想いもあったそうですが、この結果を知ることで、リスクを避けるためにも全摘したことに納得できたと、またBRCA1は卵巣がんの原因にもなる遺伝子変異なので、二次予防目的で婦人科の定期受診を決めたそうです。

 

自分の結果の「陽性」を受けて、娘さんの遺伝子検査についても彼女の成人のタイミングでしっかりと話をしていく予定です。

 

文中※ 一部引用・一部参照書籍「女性なら知っておきたい「遺伝性がん」のこと 遺伝性がん・卵巣がんのすべて 」

市川喜仁(独立行政法人国立病院機構・霞ヶ浦医療センター医師)

 

まとめ

kibou

遺伝子検査を受ける。

その時点ですでに自分か自分に近しい人に遺伝子変異が認められた乳がんであるという事実が存在しています。

家族歴の情報収集の段階で、乳がんの既往者の数に比例して、(もしかして)から(おそらく)(きっと)と不安も増強していきます。

 

結果の受け止め方は人それぞれ、描く想いは多種多様です。

悲しみ、嘆き、意外にも驚き少なく冷静に事実を受け止める方もみえます。

 

前述のKさんのように、遺伝子検査結果をもとに今後親子で将来に向けて乳がん・卵巣がんの対策をとっていく強い心構えをもつこと、

フォロー体制を早期に築くきっかけにできることは、遺伝子検査本来の有益な活用といえます。

 

いずれにせよ検査結果は100%でなく、

遺伝子変異があるから100%がんになるわけではなく、

 

「一生のうち、誰でも乳がんになる可能性はある」という事実のもと、遺伝子検査を前提で考えるのではなく、結局、私たちが目指すのは『ピンクリボン精神』にいきつくように思うのです 。

 

【ご存知ですか プチ知識】

 

~ピンクリボン運動~ 

nyu-gan-ribon

このバッジを付けている人、ステッカーが貼られている車など、どこかできっと見たことがありますよね?

 

これのもとは8人に1人が乳がんになるアメリカから発信されたものです。

2000年以降日本にも、今では世界中で「乳がんの正しい知識を知って悲しむ人をなくそう、減らそう!」が趣旨の、乳がんの早期発見の大切さを知ってもらうための啓発運動のシンボルマークとなっています。

 

実はバッジもそうなのですが、この活動に賛同した企業等が制作した、このマークをモチーフにしたさまざまなグッズが販売されているのですが、いずれもこれらの売り上げのすべて、または一部が関連団体へ寄付され、啓発活動費やマンモグラフィー機器の購入に充てられているのです。

 

ひとりひとりが、この『ピンクリボンスピリッツ』を大切に、自分と大切な家族の身体、守っていきたいですね!!

スポンサーリンク

 

当サイトでよく読まれている検診と人間ドックの記事です 

 

【ピロリ菌に効く】ブロッコリーともやしとバナナの成分とその効果

【ピロリ菌の除菌と副作用】治療の費用は保険適用と適用外のどっち?

【ピロリ菌と再感染】再感染率が高まるやってしまいがちなNG行為

【乳がんと胸のへこみ】乳がんかどうかがわかるその症状や特徴

【インフルエンザの誤診】病院も風邪と間違える、その原因と対策

【インフルエンザと消毒液】効果のある消毒液の簡単な作り方と注意点

【インフルエンザと市販の風邪薬】ルルは処方薬との飲み合わせも安心

【インフルエンザは何科で受診できる?】症状別の受診すべき科

【インフルエンザと似た症状の病気】症状別インフルとの見分け方

【インフルエンザ中に耳が痛い】違和感は中耳炎と難聴の可能性アリ

【インフルエンザを放置するとどうなる】大人と子供の自然治癒の違い

【インフルエンザの除菌】ファブリーズとクレベリンは効果無し?

【インフルエンザ中のお風呂とシャワー】子供と大人の違いにも注意

【インフルエンザとタミフルの飲み方】その効果と嘔吐した時の注意点

【インフルエンザの兆候】インフルエンザの前兆と風邪との見分け方

乳がんの遺伝子検査とは?がん家系について知っておきたいこと

異常あり?異常なし?グレーゾーンも多い乳腺嚢胞(のうほう)とは?

「乳腺の石灰化」とは?マンモグラフィーの検査結果を分かり易く解説

 

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このページの先頭へ