【インフルエンザ予防接種の後のかゆみと 腫れ】症状をやわらげる対処法
毎年10月から始まるインフルエンザの予防接種。
インフルエンザの発症予防や重症化を防ぐのに有効だとされているので、たくさんの方が受けられたことがあると思います。
しかし、予防接種を受けた後に注射をした所が赤く腫れたり、チクチクとかゆく熱を持ったような症状が出る人がいます。
これは、ワクチンを接種した時にみられる副反応と呼ばれているものです。
この副反応は2、3日でおさまることが多いですが、人によっては全身にじんましんの様なかゆみが出ることもあって病院を受診した方がいいのか、心配になってしまいますよね。
そこで今日は、インフルエンザワクチンの接種後に起こることがある副反応の種類・腫れやかゆみの原因などを解説していきます。
更に、副反応になりやすい人の特徴やかゆみによって不眠になってしまった時の改善法についても紹介します。
- ーポイントー
*副作用と副反応の違いとは?*
副作用とは、薬を飲んだ結果、生じる思わしくない症状のことです。【医薬品を飲むことによる化学的影響】
具体的には頭痛薬を服用して、眠気などの症状が出ることを指しています。
効き目が強いほど、副作用も強く出るのが一般的です。
副反応とは、ワクチン接種に伴う、免疫がつく以外の反応のことを言います。【細胞内で起きる反応】
インフルエンザ予防接種で使用されるワクチンは、不活化ワクチンと言ってウイルスの病原性を無毒化したものです。※あとで詳しく説明します※
なので、接種することでインフルエンザにかかる可能性はありませんが、接種を受ける時の健康状態や体質によってかゆみが出たり、赤く腫れたりするなどの症状が出ることがあります。
これを副反応と呼んでいます。
インフルエンザワクチンの接種によって引き起こされる副反応の種類は?
▼軽度のもの
注射した部分【二の腕など】に起こる皮膚症状・・・予防接種を受けた人全体の内10%~20%にみられます。
具体的には、注射をした部分が赤くなる・腫れる・熱を帯びる・かゆみ・痛みが出るなどという症状になります。
▼中度のもの
微熱・倦怠感・寒気・頭痛・リンパ節の腫れ・かゆみ・・・予防接種を受けた人全体の内5%~10%にみられます。
部分症状だけにおさまらずに、上記のような全身症状が出る場合があります。
▼重度のもの
アナフィラキシー症状・呼吸困難・じんましん・吐き気など・・・ごくまれ【0.002%】に出る症状です。
強いアレルギー反応です。
のどの腫れによって気道が詰まることや血圧の低下により最悪の場合、命に関わる危険な状態になることもあるので注意しましょう。
※ここに挙げた副反応については、必ずしもワクチン接種との因果関係が明らかになっているものではありません※
- ポイント
インフルエンザワクチンとは何か?
ワクチンには、大きく分けて【不活化ワクチン】【生ワクチン】との2種類あります。
インフルエンザワクチンは【不活化ワクチン】であり、感染性をなくしたウイルスをあらかじめ私たちの体の中に接種することで、抗体を作り病気を予防することが
目的とされています。
このワクチンを作るには、まず原料となるウイルスが必要になります。
ワクチンの製造には、鶏の卵が使われています。
【これは、私たちが普段食べている卵ではなくて、孵化鶏卵というひよこになる前の卵です。】
卵1~2個で大人1人分のインフルエンザワクチンを手に入れることが出来ます。
インフルエンザ予防接種で副反応を起こしやすい人の特徴は?
上記にも書いたように、予防接種のワクチンを製造する流れの中で鶏の卵を使用しています。
成分に鶏卵のたんぱく質が含まれていますので、卵アレルギーがある人は注意が必要です。
また普段、何ともなくても体調が悪い時に強いアレルギー反応が出る場合があります。
副作用を起こさないためには、体調が悪い時には接種しないことや小さなお子さんやお年寄りの場合は特に接種して30分くらいは病院で様子をみることをおススメします。
どんな小さなことでも、もし心配なことがある場合は事前に診察を受ける方が安心です。
- 接種をしてはいけない人
高熱が出ている人
- 現在何らかの疾患にかかっている人
今までにワクチンを接種して副反応が現れたことがある人
- 接種する前に医師に相談する必要がある人
心臓病・肝臓病などの慢性の病気で治療を受けている人
痙攣を起こしたことのある人
卵アレルギー、もしくは何らかのアレルギーがある人などー
インフルエンザワクチンによる副反応・腫れやかゆみの原因は?
インフルエンザの予防接種を受けて腫れたり、かゆみが出る理由にはいくつかの原因が考えられています。
「ワクチンを接種する」ということは、微量ですがウイルスを半ば強制的に体の中に取り込むことです。
そこで、私たちの体内に入ったワクチンは、免疫システムの働きによって「異物の侵入」として処理されることになります。
そして、体は【自然免疫システム】によりそれらを排除するための「抗体」を作り出します。
これは言い換えると、私たちの体に義務的にアレルギー反応を起こさせているということなのです。
このことから、副反応が起こるのは、健康的な防御反応であり、自然なことなのだと言う考え方も出来ます。
副反応でかゆみが起こってしまった時の3つの対処法
なるべく腫れている部分には触らない
接種部位に腫れやかゆみなどの症状が出てきてしまった時はなるべく触れないようにして、かゆくても絶対に掻きむしらないようにすることが重要です。
※特にお子さんだと掻くだけ掻いてしまって、たくさん傷を増やしてしまう事があります。
また、刺激を与えることでさらなる痒みや腫れに繋がってしまうのです。
予防接種を打った部分が痒くて掻いたり、叩いたりしてしまうと、予防接種の注射による穴が広がってしまって、腫れなどの症状が悪化する可能性もあるので注意が必要です。
患部を冷やす
しかし、どうしてもかゆくて我慢ができない場合は、痒い部位を冷やすとかゆみが和らぎます。
冷たく絞ったタオルや氷で冷やすと良いでしょう。
ただこの冷やすという処置は、あくまでも一時的に痒みを紛らわせるだけであって、痒みが消えるわけではありません。
予防接種を受けてから24時間は激しい運動や、飲酒を控える
更に入浴をする時もあまり接種部分に刺激を与えないようにしましょう。
接種部位が温まるとかゆみが増す可能性があります。
かゆみで眠れなくなってしまった場合の改善方法
痒み止めを塗る
冷やしてもあまり効果を感じないとか、子供が寝ているときに無意識に掻いてしまうというような場合は軟膏タイプの痒み止めを塗るのがおススメです。
それでも、どうしても掻きむしりが心配になる場合は、子供の爪を切り長袖を着せてミトンなどをして寝かせるようにします。
抗アレルギー剤を服用する
かゆみはアレルギー症状の一つです。
抗アレルギー剤でアレルギー症状を止める事はできませんが、痒みを鎮める効果は期待できます。
ポイント・・しかし医療機関や医師の判断により、何の痒み止めを使うのか、内服する抗アレルギー剤にするのかは判断が違ってくる場合があります。
なので、自己判断で薬を飲むのはやめましょう。
インフルエンザ予防接種の後でかゆみや腫れが起きた時の対処法は?
それでは、インフルエンザワクチン接種後の副反応の種類について振り返ってみましょう。
軽度の場合は、注射した部分にだけ起こる皮膚症状になります。
注射したところが赤く腫れる、かゆいなど
中度の場合は、部分症状だけにおさまらずに、微熱・頭痛・倦怠感などの全身症状が出る場合があります。
更に重度になると、強いアレルギー反応からアナフィラキシー症状が出ることがあります。
▼注意▼知っておきたい!接種後すぐに受診をした方が良い、重篤な症状▼
前にもご説明した通り、赤みや腫れなどの副反応は体に起こる生理現象であり、ほとんどが2,3日で治まるので心配ないとされています。
しかし、稀に強いアレルギー反応などの重篤な症状が現れることがあります。
以下のような症状が現れた時はすぐに医療機関を受診する必要があります。
・アナフィラキシーショック・・前触れなく、顔面蒼白、意識の混濁などのショック症状があらわれることがあります。
多くはワクチン接種後30分以内に起こります。
じんま疹などの皮膚症状の他、嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状を伴うことが多いです。
最後に、副反応で腫れやかゆみが出た時の改善方法について再確認してみましょう。
①痒い部分に触れたり、掻きむしったりすると余計に痒さを増したり患部に熱を持ってしまうため触らないようにしましょう。
②我慢できない時は患部を冷やすと効果的です。
③予防注射を受けてから約1日は激しい運動を避け、飲酒も止めた方が良い。
更に、お風呂で温まりすぎるのも痒みが増す可能性があるため止めた方が賢明でしょう。
④寝ているときに掻いてしまう心配がある場合は、痒み止めを塗り出来るだけ爪を立てないようにミトンなどをすると効果的です。
⑤どうしても、おさまらない場合は医師に相談して抗アレルギー剤を出してもらうようにしましょう。
そして、2、3日経ってもかゆみが治まらず、赤みが強く出たり腫れた部分が固くなるようであれば病院で診察を受けるようにして下さい。